「何かをやるなら、最初から完璧にしたい」
そう思っているのに、必要な労力を考えると、始める前から面倒になってしまう。
そんな経験はないでしょうか。
今回読んだのは、エレン・ヘンドリクセン著『ENOUGH 「これで十分」と思える力』です。
本書は、完璧主義や先延ばし、自分に厳しい考え方などとの付き合い方を扱っています。
私はタイトルを見て、今の生活に対する心構えや、気持ちの持ち方について学べる本だと思いました。ところが、目次を読んでみると、完璧主義や先延ばしといった悩みを掘り下げる内容だとわかりました。
実際に読んでみると、「これ、自分にも当てはまるな」と感じる部分がたくさんありました。
一方で、496ページというボリュームには苦労しました。
この記事では、23歳の会社員である私が、本書を読んで印象に残った考え方や実践したいこと、気になった点を正直に紹介します。
『ENOUGH 「これで十分」と思える力』の基本情報
本書は、臨床心理士のエレン・ヘンドリクセンさんが著し、木村千里さんが翻訳、精神科医Tomyさんが監修した一冊です。
完璧主義や先延ばし、自信のなさ、自分に厳しくしてしまう考え方などについて、具体的な事例を交えながら解説しています。
| 項目 | 内容 |
| 書名 | ENOUGH 「これで十分」と思える力 |
| 著者 | エレン・ヘンドリクセン |
| 訳者 | 木村千里 |
| 監修 | 精神科医Tomy |
| 発売日 | 2026/08/20 |
| 定価 | 2,750円(本体2,500円+税) |
| ページ数 | 496ページ |
| ISBN | 9784046076113 |
※書誌情報は出版社の公式商品情報をもとに記載しています。
読む前に期待していたこと
私が本書を読もうと思ったのは、「これで十分」と思える力というタイトルに興味を持ったからです。
今の生活に対する心構えや、気持ちの持ち方について学べるのではないかと思いました。
仕事などに役立つ情報があればいいな、という気持ちもありました。
ただ、目次を読むまでは、完璧主義や先延ばしといった悩みを解決するための本だとは思っていませんでした(笑)。
読み始めてからは、自分の考え方や行動に当てはまる部分がないか、意識しながら読み進めました。
読んで気づいたこと① 完璧を求めすぎると、始める前から諦めてしまう
最初に印象に残ったのは、完璧を求めるあまり、行動する前から諦めてしまうことがある、という考え方です。
本書では、物事を「完璧にできるか、できないか」のように極端に捉える考え方が取り上げられています。
これには、かなり共感しました。
私自身、何かに取り組むなら、最初からきちんと仕上げたいという気持ちがあります。
しかし、実際にやることを考えると、必要な労力や大変さが気になってしまいます。
その結果、「ここまで頑張るくらいなら、やらなくてもいいか」と考えてしまうことがあります。
やりたい気持ちはあるのに、完璧にやろうとすることが、かえって行動を妨げてしまうのです。
ブログ運営でも、最初から完璧な記事を作ろうとすると、公開までに時間がかかってしまいます。
完璧にできるかどうかだけで判断せず、まずは取り組んでみる。
この考え方は、これからの自分にも必要だと感じました。
読んで気づいたこと② 自分を批判しすぎると、行動する意欲まで失ってしまう
特に印象に残ったのは、第4章「自己批判とうまく付き合う」です。
この章には、自分を批判しすぎると、失敗を恐れて挑戦できなくなる、という話が出てきます。
私が共感したのは、十分な結果を出せないと思うと、行動する意欲までなくなってしまうという考え方です。
私も、何かを始める前から、その後の苦労や大変さを想像してしまうことがあります。
「うまくできなかったらどうしよう」
「どうせ十分な結果を出せないのではないか」
そんなふうに考えて、実際に行動する前から諦めてしまうことがあります。
また、人と話すときも、何も考えずに会話を続けるのが苦手です。
沈黙が気まずく感じたり、当たり障りのない返答を選んでしまったりすることがあります。
こうした経験を振り返ると、自分に対して厳しい評価をすることが、行動の幅を狭めているのかもしれないと思いました。
セルフ・コンパッションという考え方
本書で紹介されていた対処法の一つが、セルフ・コンパッションです。
簡単にいうと、つらいときや失敗したときに、自分を責めるだけではなく、自分にも優しさや理解を向ける考え方です。
本書では、自分に優しくすること、苦痛をそのまま受け止めること、そして不完全であることは人間に共通するものだと理解することが説明されています。
私は、失敗したときに自分を責めることはあっても、自分をいたわるという発想はあまり意識していませんでした。
もちろん、考え方を知っただけですぐに自分を変えられるわけではありません。
それでも、失敗したときに自分を責め続けるのではなく、「うまくいかないこともある」と考えることから始めてみたいと思いました。
読んで気づいたこと③ 他人に合わせる行動にも、メリットとデメリットがある
第5章「他人を批判しすぎず、他人からの批判を恐れすぎない」も、印象に残った章です。
この章では、周囲から浮いたり仲間外れにされたりしないように振る舞う、という話が出てきます。
私はこれを読んで、職場での人間関係を思い浮かべました。
職場では、できるだけ周囲とうまくやっていきたいものです。
何かあると怒鳴り声を上げる人、不機嫌を隠そうとしない人がいれば、できるだけ関わりたくないと思うこともあります。
そのため、相手に合わせたり、嫌われないように振る舞ったりすることがあります。
ただ、私はこうした行動を、必ずしも悪いことだとは思いません。
実際、周囲に合わせることで人間関係が円滑になることもあるからです。
大切なのは、その行動によって何を得ているのか、反対に何を犠牲にしているのかを考えることだと感じました。
例えば、周囲に合わせることで職場での摩擦を減らせる一方、自分の意見を言えなくなってしまうこともあるかもしれません。
自分がなぜその行動を取っているのかを理解すれば、必要な場面では続け、負担が大きい場面では少しずつ変えていくこともできそうです。
読んで気づいたこと④ 楽しみまで、やるべきことに変えてしまう
第9章「『楽しみ』を『雑務』に変えるクセに対処する」も、個人的に共感したテーマです。
本書では、何かを楽しもうとしたはずなのに、いつの間にか準備や練習、道具の用意など、やるべきことばかり考えてしまう事例が紹介されています。
これを読んだとき、思わず「わかる!」と思ってしまいました。
何か面白そうなことを見つけても、実際に始めるまでの過程をきちんとしなければいけない、と考えてしまうからです。
例えば、新しい趣味を始めようと思ったとき、必要な道具をそろえたり、やり方を調べたり、上達するための方法を考えたりすることに意識が向いてしまいます。
もちろん、準備が必要な場合もあります。
しかし、準備にこだわりすぎると、楽しむことそのものから遠ざかってしまうかもしれません。
最初から上手にやろうとせず、まずは楽しんでみる。
そう考えるだけでも、何かを始めるときの気持ちが少し楽になりそうです。
読んで気づいたこと⑤ 先延ばしは、時間管理だけの問題ではない
第12章「問題は時間管理ではない」では、先延ばしについて取り上げられています。
この章は特に、自分にも当てはまると感じました。
やらなければいけないと分かっているのに、なかなか始められない。
その結果、時間がなくなり、焦ってしまう。
こうした経験は、私にもあります。
本書では、先延ばしの背景に、非現実的な基準や失敗への恐れなどが関係することが説明されています。
私の場合も、自分に期待する水準が高すぎるために、行動を後回しにしてしまうことがあるのかもしれません。
では、どうすればいいのでしょうか。
本書で紹介されている方法の一つは、やるべきことを、やる前から気が重くならないくらい小さく分けることです。
例として、ジムに行く気持ちを高めたい人が、最初のステップを「バナナの皮をむく」にした話が出てきます。気が乗らないときは、それくらい小さくしていい、ということです。
私も、何かを始めるときに、最初から完成形を考えすぎないようにしたいと思いました。
「やらなければ」と考え続けるよりも、まずは小さく動いてみる。
先延ばしに悩んでいる人にとって、試してみる価値のある考え方だと感じました。
読んで気づいたこと⑥ 自分の価値を、成果だけで判断しない
第7章「成果以外のものにも目を向ける」では、物事を「成功か失敗か」「できるかできないか」のように極端に捉える考え方が取り上げられています。
私は、この考え方も大切だと感じました。
何かがうまくいかなかったとき、それだけで自分自身を否定してしまうことがあるからです。
例えば、仕事で失敗したときに「自分は仕事ができない人間だ」と考えたり、何かを最後までやり切れなかったときに「自分は努力できない人間だ」と判断したりすることです。
しかし、一度の失敗が、その人のすべてを表しているわけではありません。
仕事ができる人でも、失敗することはあります。
努力できる人でも、先延ばしをしてしまうことはあります。
自分の良いところを認めながら、うまくいかない部分があることも受け入れる。
このように考えれば、失敗したときにも必要以上に自分を否定せずに済むかもしれません。
私も、何かがうまくいかなかったときに、それだけで自分全体を評価しないようにしたいと思いました。
読んで気づいたこと⑦ 自分の中のルールと、大切にしたい価値を考える
本書では、自分の中にある「こうしなければならない」というルールについて考える内容が紹介されています。
私は特に、自分がそのルールに従うことで何を得て、何を犠牲にしているのかを考えるという方法が参考になりました。
例えば、「仕事は常に全力で取り組まなければならない」というルールがあったとします。
このルールに従うことで、仕事に熱心に取り組めるかもしれません。
一方で、必要以上に疲れてしまったり、休むことに罪悪感を覚えたりする可能性もあります。
ルールそのものを否定するのではなく、メリットとデメリットの両方を考えることが大切なのだと感じました。
また、第6章で紹介されている「価値」について考える部分も印象に残りました。
本書では、自分が本当に大切にしたいものを考えるよう促されます。
ただ、私の場合は、何が自分にとって重要なのかをすぐに答えることができませんでした。
自分が夢中になった経験や、意義を感じた瞬間を思い出そうとしても、なかなか浮かんでこなかったのです。
「そもそも、意義や目的意識とは何だろう」と考えてしまいました(笑)。
ただ、最初から正確に決めることにこだわりすぎなくていいのかもしれないと感じて、少し安心しました。
私も、すぐに答えを出そうとせず、日々の生活の中で少しずつ考えていきたいと思いました。
『ENOUGH 「これで十分」と思える力』の良かった点
1. 自分に当てはまる具体例が多い
本書を読んでいて、何度も「自分にも当てはまる」と感じました。
完璧主義や先延ばしといったテーマは、言葉だけで説明されると、自分の生活にどう関係するのか分かりにくいことがあります。
しかし、本書では具体的な事例が紹介されているため、状況をイメージしながら読み進められました。
私にとっては、自分の考え方や行動を振り返るきっかけになったことが良かったです。
2. 考え方だけでなく、具体的な対処法も紹介されている
本書の良いところは、問題について説明するだけでなく、対処するための方法も紹介されている点です。
例えば、先延ばしをしてしまう場合には、やるべきことを小さなステップに分ける方法があります。
また、自分に厳しくなりすぎる場合には、自分への接し方を見直す考え方も紹介されています。
読んで終わりにするのではなく、実際の生活で試せそうな方法があることは、大きな魅力だと感じました。
3. 自分を責める考え方を見直すきっかけになる
私は、本書を読んで、自分の考え方や行動には、それなりの理由があるのだと感じました。
他人に合わせることにも、完璧を求めることにも、先延ばしをすることにも、何らかのメリットや背景があるのかもしれません。
だからこそ、ただ自分を責めるのではなく、なぜそうしてしまうのかを考えることが大切なのだと思いました。
自分の欠点をなくそうとするだけではなく、自分を理解しながら少しずつ変えていく。
そんな考え方を知ることができたのは、本書を読んで良かった点です。
『ENOUGH 「これで十分」と思える力』の気になった点
1. とにかく分厚く、読み終えるまでに時間がかかる
一番気になったのは、やはり496ページというボリュームです。
私は読み終えるまでに2〜3週間ほどかかり、1日あたりの読書時間は約30分でした。
内容には共感できる部分が多かったのですが、1つの章が長く、読み進めるのが大変だと感じることもありました。
一度読んだだけでは理解しきれない部分もあったため、気になったところには付箋を貼っています。
読み返しながら理解を深めていく必要がありそうです。
2. 翻訳特有の言い回しや、登場人物の多さが気になった
翻訳書ということもあってか、言い回しが独特だと感じる部分がありました。
また、著名人や研究者の名前が出てきても、私が知らない人物の場合は、話についていくのが難しく感じることもありました。
具体的な事例が多いのは良い点ですが、登場人物の名前も多いため、誰の話だったのか分からなくなることもありました(笑)。
内容自体には興味を持てたものの、読みやすさという点では、少し人を選ぶ本かもしれません。
こんな人におすすめ
私が本書をおすすめしたいのは、次のような人です。
- 完璧主義で、物事を始める前から考えすぎてしまう人
- 失敗すると、自分を必要以上に責めてしまう人
- やるべきことを分かっていても、先延ばしにしてしまう人
- 他人からどう思われるかを気にしすぎてしまう人
- 自分の考え方や行動を見直したい人
私自身、これらのテーマに心当たりがあったため、本書の内容を自分のこととして考えながら読むことができました。
一方で、長い文章を読むことが苦手な人や、短時間で要点だけを知りたい人には、少し負担が大きいかもしれません。
読んで終わりにせず、少しずつ実践していきたい
本書を読んだからといって、すぐに完璧主義がなくなったり、先延ばしをしなくなったりするわけではありません。
私も、まだ実践できていないことがたくさんあります。
それでも、今回の読書を通して、自分を責めるだけではなく、自分の考え方や行動を理解することが大切だと感じました。
これからは、次の3つを意識していきたいと思います。
1. 完璧を目指しすぎず、まずは小さく始める
最初から完成形を目指すのではなく、できることから取り組んでみます。
2. 先延ばしをしてしまったら、行動を小さなステップに分ける
やるべきことが大きく感じられるときは、最初の一歩をできるだけ小さくしてみます。
3. 失敗したときに、自分全体を否定しない
うまくいかなかったことと、自分自身の価値を切り離して考えるようにします。
これらを実践しても、すぐに大きな変化が起こるとは限りません。
それでも、少しずつ自分を許せるようになれば、それも一つの前進なのだと思います。
『ENOUGH 「これで十分」と思える力』の総合評価
評価:★★★★☆ 4.0/5.0
本書は、完璧主義や先延ばし、自分を責めてしまう考え方などについて、具体的な事例を交えながら解説している一冊です。
私自身、読みながら「分かる」「自分にも当てはまる」と感じる場面が多く、自分の考え方を振り返るきっかけになりました。
特に、完璧を求めすぎることが行動を妨げてしまう点や、自分の中にあるルールのメリットとデメリットを考える方法は、今後の生活でも意識していきたいと思います。
一方で、496ページというボリュームは大きなハードルです。
内容には満足していますが、読み終えるまでには時間も労力も必要でした。
それでも、完璧主義や先延ばしに心当たりがある人にとっては、自分の考え方を見直すヒントが見つかる一冊だと思います。
「すぐに変わろう」と焦るのではなく、少しずつ自分を理解していく。
そんな姿勢を大切にしたいと感じた読書でした。

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